2025/11/30 14:17
「天才の出方を訳す」 編集というセルフラブ 「僕はクリエイターではなく、編集者や通訳者だと思っています。天才って、時に“出方”がわからない。その感覚や熱量を、どう社会に届く形に変えるか。それを考えるのが、僕の役割なんです。」 誰かの才能を引き出すこと。 「“自分が何者かになろう”としていたころより、“誰かを動かす仕組みを整える”ほうが、ずっと自然で、自分らしいと思えるようになったんです。」 それは「天才を諦めた」ではなく、「支えることを誇りに思えるようになった」という自己受容。 習慣は、約束ごとで続く “小さな誓い”が日常を支える。 「習慣は、約束ごとだと思っていて。ジムも、誰かとの約束があると休まない。だから続くんです。僕は毎月一日、必ず神社に手を合わせると決めています。雨でも風でも、予定が詰まっていても。 石をポケットに入れる。 ——そんな“最小の約束”が、一日のどこかで、自分をそっと整えてくれる。 「向き合う」ことが、愛すること 自分を見つめる時間の持ち方 「セルフラブを日本語にすると、僕は“向き合う”という言葉が近いと思っていて。自分の内側とちゃんと対話する時間を持つことなんです。」 静かな時間の中で、自分に問う。 「運動でもサウナでもいいし、寝るでもいい。汗をかいたり、人と笑ったり、湯に浸かったり。そういう当たり前のことを丁寧にやるのが、僕のセルフラブですね。特に情報に溢れた今、自分に戻る時間を持たないとどんどん“誰かの考え”に引っ張られていく。自分と向き合える場所や時間を、小さくてもいいから日常に置いておくことが大事だと思います。」 取材の最後に、セルフラブカードをランダムに1枚引いてもらった。 「#32:私は時々、自分の_____が素晴らしい!ということを、つい忘れてしまう。_____の部分を思い出してみて。」 「うーん。面倒見がいいところかな。おっせかいかも(笑)」 (株)ビームス 執行役員 シニアクリエイティブディレクター 兼 ディレクターズバンク室長 ショップスタッフを経て、20年以上BEAMSグループの宣伝PR業務を行い、その後グローバルプラットフォームを持つ国内外の企業や組織、ブランド、人などと次世代に向けたアライアンスを組む新たなビジネスモデルを立ち上げる。現在はディレクターを集結したエージェンシーであるディレクターズバンク室長を務める。シニアクリエイティブディレクターとして革新的な価値創出やブランドイメージの向上、ビームスが目指すビジョン実現に向けた推進を行う。また島根県親善大使、出雲観光大使やこうげい社・旧白洲次郎 正子邸である武相荘のクリエイティブディレクター、その他ラジオパーソナリティ、大学非常勤講師、 司会業、各講演など仕事は多岐にわたる。 credit featuring:Hiroshi Doiji photo: Ruka Kashiwagi
場を設計し、流れをつくること。
「主役を支える」という在り方を自分の美学として受け入れたとき、ようやく心が軽くなったという。
その視点こそが、土井地さんにとってのセルフラブだ。
行かないと“気持ち悪い”くらいの、小さな誓いをひとつ置くようにしています。」
玄関で香りをひと吹き。
寝る前に一曲だけ聴く。
体を動かす、音を聴く、香りを感じる——それもすべて“向き合い”の手段。
土井地さんが引いたのは、「#32」。
interview / text: Rina Park

